2 in 1

約束

“海”は日記に速水との交際の経緯と複雑な心境を綴った。
「この罪悪感は何だろう?先生に惚れるなんていけないことだとはわかっている。でも止められない。もうどうにもならない。」
“一”は
「好きになってしまったものはしょうがないんじゃない?今度は勇気を出して告白してみたら?」
とコメントをくれた。“一”には“海”の気持ちがわかるみたいだった。“一”は“海”の良き相談相手だった。
“海”は我慢できなくなって“一”に再びメッセージを送った。
「卒業までなんて待てないよ。じらさないでもっと君について教えてほしい。」すると意外にも早く返事が返ってきた。
「いいよ。だけど、一つ約束をしてくれるかな?」
「わかった。約束する。それはどんなこと?」
「それはお互いの秘密を共有すること。君にできる?」
「できるよ。約束する。」 「日記は今まで通りで、やり取りはメッセージですること。」
「わかった。君に合わせるよ。もし約束を破った時はどうなるの?」
「きっと二人とも裁かれるかもね。」
“海”は急に弱気になった。「裁かれるって?」
「なぁに、大丈夫。二人の気持ちさえしっかりしていたらね。でも止めるなら、今のうちだよ。」
二人でどんな罪を犯すというのだろうか?“海”は急激に加速していく会話の渦に飲み込まれていた。しかし、“海”は自分の好奇心を止められなかった。“海”は覚悟を決めた。
「よしっ!やろう。やるよ。」
こうして“海”と“一”の距離はさらに縮まった。
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