2 in 1

手紙

宇美は部屋に入ると、早速ベッドに腰かけ、手紙の封を開けた。中から便箋と1枚の写真が出てきた。写真には学ランを着た父親の勲と速水が一緒に写っていた。
「木村宇美君へ」
「拝啓、“海”こと木村君、“一”こと速水です。もう君は正体を知っていたのかな?まずは、君との約束を破り、君の大切な秘密をばらしてしまったことを心から謝るよ。本当に悪かった。申し訳ない。許してくれとは言わない。それだけ私は大変なことをしてしまったのだから。ただわかってほしいのは、どうしてこうなってしまったのかは私にもわからないのだ。」
宇美は込み上げてくる怒りを抑えながら読んでいた。「これから話すことは真実だ。決して嘘じゃない。だから信じてほしい。その証拠に写真を添付した。
昔、私が君くらいのころ、一人の男に恋をした。名前は木村勲。そう、君のお父さんだ。最初は友達として付き合っていた。そのうち、私は彼に友達以上の感情を抱いてしまった。最初は自分でも異常だと思った。しかし、私の彼への想いはどんどん募っていった。ある時、私は抑えきれなくなり自分の気持ちを彼に告白した。それでも彼は私を嫌わなかった。告白してもそれまでと変わらない付き合いをしてくれた。もちろん体の関係はなかったが、熱い絆で結ばれていた。しかし―、」
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