2 in 1

出会い

マイミクの“一”と出会ったのは半年くらい前だ。昨年の秋だった。“海”は早く“ユージ”以外のマイミクが欲しくて、とりあえず“検見山高校”で検索してみた。そうしたら20件ヒットした。
「以外とあるんだなぁ。」“海”は驚いた。一件ずつたどって日記を読んでいった。そうしたら“一”という人の日記の中に、
「今日はヨコイチが風邪をひいてマスクをしていた。」
とか、
「体育祭のクラス対抗リレーで優勝した。」
とか、
「潮友祭で縁日をやることになった。」
とか…。“海”のクラスの話題が書かれているのを見つけた。クラスメートの話もあった。“海”は最初
「それは僕も知っている。」
とか、
「その話は僕もわかる。」などのコメントを入れていた。何回か日記を読んでいるうちに自分と同じクラスの誰かに間違いないと確信した。“海”のクラスは担任の速水を入れて31人だ。一体誰だろう?“一”から連想してみた。名前に“一”のがつくのは、千歳一(はじめ)くん、代々木一子(かずこ)さん、吹田貫一(かんいち)くんの3人だ。“一”と書くが、読み方がわからなかった。“海”はとりあえずメッセージを送ってみた。
「はじめまして、“海”といいます。今、検見山高校に通っています。もしかしたら同じクラスかも?」
そうしたら、その日のうちに返事のメッセージが届いた。
「やぁ、海さん。はじめまして。いつも日記を読んでくれてありがとう。僕も今、検見山高校に行っています。よかったらマイミクになりませんか?」
「ぜひお願いします。」
「ただし条件があります。それはお互いが誰かを詮索しないこと。もし誰かがわかったとしても黙っていること。約束してくれますか?」
「了解です。約束します。」
“海”はマイミクになることを承認した。“一”のプロフィールは非公開となっていた。毎日会っているのに誰だかわからなかった。男か女かも不明だった。“海”はそれでも良いと思った。その方がドキドキするし、ワクワクした。こんなスリルもありかもしれない…。謎の交際はこうして始まった。
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