キスはおとなの現実の【完】
身体をいれたはいいけれど、なにをどうしていいものだろうか、いっさいがっさいわからなかった。

メニューもなければ、なにもない。
左右を見ると、サラリーマンが缶ビールだのワンカップだのをちびちびやっている。

きょろきょろしていると、仕切りのむこうからカズトさんが声をかけてくれた。

「ごめんね。わけがわからないでしょ。ちゃんとした飲食店の体裁にしちゃうと、営業許可をとったり、衛生責任者設置義務なんかがでてきちゃうから大変なんですよ」

なるほど。
それでこんないいかげんなスペースができあがったというわけか。
< 102 / 224 >

この作品をシェア

pagetop