キスはおとなの現実の【完】
営業職の人間にとって、会社は仲よしクラブじゃない。
先輩、同期、後輩全部が敵であり、ライバルである。

「おまえはほかのやつらとは気迫が違うからな」

そういってほめてくれるが、よろこびはとくに感じなかった。

これはわたしが、みずからのぞんで選んだことだ。

サンドイッチをたべ終わると、大上先輩にあいそうだけのお礼をいった。

「ありがとうございます」

ホームに電車がすべりこみ、わたしたちはそれにのって会社に帰った。
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