キスはおとなの現実の【完】
21.カズトのわたしへの気持ち
「まだぜんぜん知らなかったけど、袴田さんがあの場にいたから、おれはばっくれずにもどってきたんです。なんていうか、おれもすこしその気持ちがわかるから」

わたしはステンレス板のカウンターに視線を落としたまま、カズトさんの言葉をきいていた。

年数が経過してあちこち傷だらけになったステンレスの天板は、できそこないの鏡みたいにわたしの顔をぼんやりうつす。

さんざん泣いて化粧なんてとっくの昔にくずれていた。
そこには、ちゃんとしたおとなになれない、みっともないおばけがうつっている。
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