キスはおとなの現実の【完】
まだ若い学生のころ、そんな話をじょうだん混じりで友人たちとしたっけな。

学生服とファストフードとケータイ電話がすべてだったあのころ。
いつでもみんな、おなじペースで歩いていた。

このままこどもでいるよりも、一歩いっぽ階段をのぼっていくのが、うれしいようなもどかしいような、そんな気持ちでいっぱいだった、ときめきの学生時代。

ゆっくりだけれど確実に、一段いちだんおとなになっていく自分を、足の裏と全身でたしかに感じて生きていたんだ。
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