キスはおとなの現実の【完】
仕事が終わって家に帰れば、毎日の炊事や部屋の掃除が待っていて、休みの日には一週間ぶんの洗濯をまとめてする。
毎日へとへとに疲れ果て、眠ればすぐに次の朝がやってくる。

たしか学生のころは、こんなふうじゃなかったな。

キスはどんな味がしたとか、初エッチはどうだったとか、そんな話を友人たちといつもしていて、もっと感情ゆたかに毎日をすごしていたような気がする。

キスにセックス、ひとりじゃできない愛の時間。

恋をするどころか、あくびをしたり、笑ったり泣いたりする時間も、わたしはしばらくとれていない。

べつに気にすることでもないが。
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