キスはおとなの現実の【完】
時間はいつでも容赦なく、わたしたちの背中をおして、まえへまえへと足をむりやり進ませる。

ときに鞭で背中をたたき、オイルを塗った靴の底に火をつけて、わたしたちに危機感ばかりを植えつける。

甘くて酸っぱいフルーツ味の幻想をいだいていた大昔には、わたしはもうもどれない。

今のわたしのくちづけは、きっともっと現実的な味がするんだろうと思う。

だから……
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