キスはおとなの現実の【完】
先ほどの女の店員さんが、おしぼりやらお箸やらを一式持ってやってきた。

「おのみものは」

みんなにならって、わたしもビールを注文した。

さすがに、のまないわけにはいかない。

すぐに、きんきんに冷えた中ジョッキの生ビールがわたしのもとにはこばれる。

「じゃあ、みんなそろったところで」

わたしのむかいに座っている、ちゃらちゃらした茶髪の医大生がジョッキを片手に立ちあがる。
ムードメーカー的ポジションらしい。

ほかのみんなも合図にあわせてジョッキをにぎる。
わたしもならって、運ばれたばかりの中ジョッキを手に持った。

ムードメーカーの男の子が店じゅうに響くような大声で叫んだ。

「今日の出会いに、かんぱい」
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