キスはおとなの現実の【完】
9.仲間はずれのあまりもの
わたしの予想に反して、カズトという男の人は、ふたたびわたしたちのまえにもどってきた。
なんとも律儀な男である。

もっとも、すでにラストオーダーの時間はすぎていた。
二時間の宴会コースを利用している手まえ、新たな注文はとおせない。

カズトという業者は、フロアと座敷席の中間に立って、ムードメーカーと他愛ない雑談をしていた。

かたちとしては先ほどの雑談と大差ない。

ときおりアルバイトの店員さんに、じゃまそうな目で見られている。
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