藍色の城



『ごめん…』と謝るキミに、
『私こそ…ごめん』と言った。



キミをこんなふうにさせて
ごめんなさい…。
何のしがらみもなければ、
キミを拒絶することはなかった。



ゆっくりと立ち上がって
かすれた声でキミは
私に想いをぶつけてくれた。



『ボクは咲妃さんが好きです。』



いつかは聞きたかったその言葉。
今となってはあまりにも
切なく哀しい言葉に愕然とする。



返事を待たんとして、キミは
出て行った。



私だけを残して……。








< 43 / 121 >

この作品をシェア

pagetop