ディア・ロマンス




「以上で520円になります。」

「ちょっと、無視しないでよ七尾さん!」

「今ポテトが安くなってますよお一つ如何ですかー。」


気安く名前を呼んでくる男から視線は右斜めへと逸らし床へ。百円玉が落ちているのを見つけ、拾ったりしている私。



こんだげ鬱陶しい゙をアピールしてんだ早く帰れという念を込めてわざと大きく溜息を吐いてみた。

それなのに、男達は一向に帰る素振りを見せない。今バイト中だしまだ穏やかにやってんのに、いい気になんなよカス。



私が心でそんなことを思っているなんて、知るはずもない男達の一人があろう事か私の手首を掴んできた。



「…ナンデショウカ。」

「だからあ、どこの高校?」

「行ってません離して下さい。」

「嘘ー、じゃあ名前は?」

「七尾です。」

「違うよ、ファーストネームの方!」





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