ディア・ロマンス



制服へと身を包んだ私は、指を絡ませ腕を頭上へと伸ばす。

背骨が鳴った音がするけど、なんでこってんだろうか。



階段を下りた突き当たりの、リビングへと繋がるドアを開ければ。

新聞を読みながら珈琲をのむ毎朝お馴染みの光景が待っていた。



「玲もいるか?」

「出来ればカフェオレがいい。」

「面倒。珈琲以外認めない。」

「…じゃあそれでいいよ。」



あははと小さくも高らかに笑いながら新聞を畳むその姿は、なんと性悪なこと。

席を立つその男の姿を横目で追いながら、私も向きダイニングテーブルを挟み向き合う位置にある椅子へと腰掛けた。



そして、その後ろ姿に声を投げかけた。




「啓兄。」


んー?と返ってきた気怠げな返事に私までだらけてしまいそうだ。

まあ、この人はいつもこんな調子だし今更どうこうとかいうのはないけどね。




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