夢幻双子




「…夢が」



「夢?」



「はい、いつもお告げの後にみるお告げ場の夢に見知らぬ者がいました。」



「見知らぬ者‥?」



「冷たい目の…男にございました。」




「…用心なさい。その者はある意味お前の運命を握るもの。
そやつはお前の味方ともなりうるが、敵となりうるもの。」



「…運命?はい」



二人は押し黙り、真星が口を開いた。




「今日はもう」



「ああ、宜しい。
わしも少し疲れたからのう。
お主も長旅故、疲れたであろう」



「では、失礼致します。」



真星が立ち上がると御方様は珍しく真星を呼び止めた。



「‥真星、まだ此処に身を置く気はないか?」



突然の問いに真星は戸惑い奥の部屋をみつめた。



「…今はまだ」



「そうか。くれぐれも気を抜かないことじゃよ。」



そう言い聞かせるように言い、真星が部屋をでたあとに呟く。




「此処に居れば息災から逃れられたであろうに…。
お前はまだ、現実を見つめる勇気が無いのじゃな。
表面上の幸せに捕らわれ、また騙されてしまうのか?

真星よ」




< 21 / 39 >

この作品をシェア

pagetop