秘密な彼氏
春休みのことだった。

友人とお花見を楽しんだ私は、夜の10時を過ぎた頃に自宅に帰ってきた。

「あれ?」

家についたとたん、ドアの前に誰かがいることに気づいた。

誰だろう?

その人は、ドアの前に座ってもたれかかっている。

この人、何者なんだ?

そう思いながらそろそろと近づくと、顔を覗き込んだ。

ハデなシャツは胸元がはだけていて、高そうなスーツはヨレヨレだ。

「あの、もしもし?」

声をかけると、その人――隆志は顔をあげた。
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