秘密な彼氏
「――あ…あの、中里くん、とりあえず顔をあげて…ね?」

私の言うことに従うように、中里くんは顔をあげた。

とりあえず、まずは状況を突破しなきゃ。

ここで断って、また土下座をされたら、さすがの私も危機を感じる。

「1回だけ、デートをするんだよね?」

確認した私に、中里くんは首を縦に振ってうなずいた。

隆志には悪いけど、ここは状況突破のためだ。

中里くんに土下座をさせないため。

ファンクラブの子たちのため。

「わかった」

そう言った私に、
「ありがとうございます!」

お礼を言った中里くんの声の大きさに、私はこけそうになった。

さすがバスケ部だ。
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