ただ、それだけで
サエからの電話を今か今かと家で待っていた私に届いたのは
「……ユイ…私…、リョウに振られちゃった」
声を震わせたサエの声だった。
「なんで!?」
と言う私の言葉に
「リョウ…、私の事、友達としか見れないんだって」
震える声を抑えながら言葉を紡ぐサエに私は「そっか…」としか言えなかった。
2人と友達である私は、どっちの気持ちも分かり過ぎて簡単に言葉にできなかった。
リョウは友達としてサエを大事に思ってるからこそ、簡単な気持ちでつき合う訳にはいかなかったはず。
「でもね、失恋した事は思った以上に悲しくてつらいけど、気持ちを伝えられてスッキリしたの。だから後悔はしてないの…。ユイ、これで次の恋を見つけられるよ」
悲しそうな声で一生懸命前向きになろうとするサエが切なくて、涙が零れた。
そんなサエに彼氏ができたと言うのだ。
嬉しくない訳がない。