なんと知的な口説き方をするのか!

どこかで、『冬でもいるよ』と答えてほしいと期待していた私は、なんだか胃の中に石を詰め込まれたみたいな、重苦しい気持ちになった。


しょんぼりして、冷たい柵を、ぎゅっと握る。



「…………めがねくんと、話せなくなるのやだなぁ…」


たっぷりの沈黙のあと、精一杯の愛情表現。

友情とも取れる、グレーゾーンを狙う。




「……エロス、って知ってる?」


めがねくんは私の顔を見つめて、大まじめにそんなことを言った。



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