Foolish boyfriend～５年前の約束～

｢あたしの話って…｣


｢ね、いつから付き合ってたん？｣


自分の恋愛話をするのは苦手なんだけどな。自分のことを話すのも、あまり好きじゃない。

でも杏は興味津々みたいで、話すまで課題なんてほったらかしって感じ。


７ヶ月も一緒にいて、今までそんな話にならなかったのが不思議なくらいなんだけど。それくらいに、杏は恋愛話が好きらしい。


｢１年と６ヶ月前から｣


｢スゴいやんっ、長いこと続いてんねんなぁ。いいなー、憧れるわー｣


｢遠距離やからね、いろいろ大変だよ｣


遠距離になって、いいことなんて１つもなかった。

会えなくて寂しいし、電話だってあまり長い時間してられない。信じてるけど、浮気してたらどうしよう、とか。いろんなこと考えちゃう。


｢確かに、遠距離って大変やんなぁ。７ヶ月も会われへんなんて、うちには耐えられんわ｣


｢うん、７ヶ月って結構長いよ。電話してたら会いたくなるしね｣


でも、あと１ヶ月もすれば会えるから。

それまでの我慢。


｢彼氏、会いに来えへんの？｣


｢夏休みには会いにくるんやって。だからバイト始めたんよ｣


ほんとはあたしもバイトして達哉に会いに行きたいけど、そんなことしたらきっと、達哉はすごく怒るから。


過保護すぎるところがあるからね。

心配性っていうか…


｢へぇー、そうなんや。夏休みかぁ。あともう少しやね｣


｢どんなやつなん？｣


今まで黙っていた中村が、雑誌を閉じてベッドに座りなおした。