Foolish boyfriend~5年前の約束~

夏休み


夏真っ只中の昼間。

あたしは今、一人で駅にいるわけだけど。


あっつい。

とにかく暑い。


夏休み半ば。あたしがここに引っ越してきて、8ヵ月。今日やっと、達哉に会える。


「暑い…」


達哉には内緒で駅まで迎えに来てるんだけど、ちょっと早かった。

ここに着いて、かれこれ30分は待ってるんだけど、電車はまだ到着しない。


ちゃんと時間を聞いてから来れば良かった。


"昼ごろに着くから"それしか聞いていないから、何時に着くかは分からない。


次の電車に乗っててくれたらいいけど。


そう思っていたとき、次の電車が到着したらしい。人がたくさん降りてきた。


見渡してみるけれど、達哉らしき人は見つけられない。この電車でもないのか、と思っていたとき



「舞子?」


聞き覚えのある声が聞こえた。



「達哉…?」


そこにいたのは8ヵ月前に見た達哉とは違う、黒髪の達哉だった。

それだけじゃない。身長も伸びてる。


「え、何で? 待ち合わせここだっけ?」


「違うけど、早く会いたくて……何、どしたん、その髪色!」


驚いた。明るい茶色だった髪色が、真っ黒になってる。自分でも前の髪色は気に入ってるって言ってたのに。
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