【短】クリアネス-未来へ-
小学校3年生の時だった。



「親が親なら、子も子ね」



マユミお姉ちゃんが言った。



俺の知らない間に
マユミお姉ちゃんは
『お母さん』になって

だけどそれは
俺じゃない、他の幸せな誰かの
『お母さん』で



……だったら
本当の
『お母さん』は?




「あんたの母親は最低な売春婦だったわ」



バイシュンフ。
耳慣れない言葉。


少しだけ開いた窓の隙間から
ひゅう、と擦れた笛のような音がして

肌寒さに
背筋を震わす。



「金のために本番させて、あげくの果てに子供まで出来ちゃってさ」




そんな言葉を

散らかすように吐き捨ててゆく



この女の人は誰デスカ?





「どこの誰の子だか分からない赤ん坊を産むって言い出した時は、頭が狂ったんじゃないかと皆で噂したもんよ





―――ねぇ?



僕ハ誰デスカ?
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