恋奏~love harmony~




「この前の撮影で監督がフランス人だったんけどね?
通訳さんが風邪ひいちゃって…

喋れるのあたしだけだったんだけどあたしも自分の着替えとか撮影とかあって…」


「そこで俺が役に立ったんだよ!」


「あたしもびっくりしちゃった
まさか尚人が喋れるなんて。

それなのにまりちゃんのが外国語は達者って言うからなお驚きよ。」


あぁ、それでか。

そういえば萌さんにはまだ話していなかったっけ?


「萌さん、実はあたし養子なの
あの家に行くまでの何年かはフランスに住んでたんだ」


「そうだったの!?」


「うん」


「言ってもよかったのか?」


「うん、尚くんの彼女だし萌さんはこれからも付き合っていく大切な人だし。」


「そうか」



尚くんはほっとしたような顔をすると
萌さんが涙目になりながら後ろを振り返った

あたしと尚くんが何事かと心配する


「まりちゃん、ありがとう!

何かあったらすぐ言ってね。
まりちゃんは妹みたいな存在だし力になれる事なら何でもするからね!」


萌さん…

「うん、ありがとう。」




そのあとは家に着くまでの15分間、何時も通り世間話で盛り上がった




「またあしたね」


「ちゃんと休むんだぞ。」


「うん」



クラクションがプッと一回なって尚くんたちは帰って行った




尚くんはあたしの事情を知ってる数少ない人だからな

何が起きたかも、あたしが本当はどんな人間だったのかも。









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