銀杏
親指と人差し指の間にできたタコと手のひらにできたマメ。
裂けたり潰れたりして痛々しい。
「痛い?」
「ん…。」
「…試合中も痛かったでしょ?」
「……わかんなかった。必死で。」
「嘘。打ち返す度に痛みが走って辛かったよね?……血が流れてるのが見えた。ラケットがほら、あんなに汚れてる。」
尊は何も答えない。ただ黙って手当てされている。
ポタッ
尊の手に滴が落ちた。
「…咲?」
「うっ…い、いっぱい…いっぱい…痛かったよね?ひっく…うひっ…。」
「何で咲が泣くの?痛いのは俺だよ。」
「だって…こんなに真っ赤…。」
「咲?血なんてとっくに止まって…あ。」
尊は気がついた。咲が見てるのは自分の怪我ではないことを。
手当てが終わって部屋を出ようとすると、尊は咲を引き寄せた。
「ありがと、咲。お前の応援があったから勝てた。痛みでくじけそうだったんだ。明日、頑張るから。」
「うん。明日のためにゆっくり休んで。お休み。」
「お休み。」