銀杏


「夫婦らしいことってどんなこと?」

え…

「うーん、例えば…心が通じ合ってると感じたりするようなこととか…かなあ。
でもお互い試合が近いと何にも喋らない。
入籍前の方がスキンシップもあったと思う。」

「私が結婚した頃はね、咲ちゃんも知っての通り父ちゃんは水泳選手で、私はテニスの選手だったのよ。尊ほど強くはなかったけどね。」

「…ホントに?」

驚いた。初めて聞いたよ。

「尊も知ってるの?」

「うん、あの子にテニス教えたのは私だもの。」

私が…私だけが知らなかった?

「私がね、誰にも言うなと口止めしたの。
…父ちゃんの親戚も私の親戚も口煩い人が揃っててね。」

私を引き取った時に色々言われてたの知ってるよ。

「結婚を反対されてたの。
家を飛び出して…コーチの家に転がり込んで、しばらく別れた振りをしてた。
でも結局気持ちは抑えられなくてね…。
反対されればされる程気持ちは固くなっていった。」



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