四竜帝の大陸【青の大陸編】
高校生から愛用してたパジャマのズボンを、リフォームしたわけです。
上は残ってるから……なにげにお揃いのパジャマとか考えた。
26にもなって、なんてとんちんかんな事しちゃったんだろう。
ふと。
思い出した。
会社の後輩が彼氏にプレゼントしてたのは、高価なブランド物で。
ランチ代を切りつめて、いろいろ節約して頑張ってたな。
ううっ。
なんか……鼻の奥がツーンとしてきちゃった。

「りこ。これは……りこが異界から着てきた‘ぱじゃま’ではないのか?」

分かっちゃいますよね、そりゃあ。
離宮生活になってからは、セシーさんが(ダルド殿下のお金で)用意してくれたネグリジェを使っていた。
帰れないって知って……。
特売スリッパとぼろパジャマが。
とんでもない貴重品に思えて……。
これ以上、痛むのが怖くて仕舞い込んでいた。
賢いハクちゃんには、ばればれですよね? 

「う、うん。そうなのっ、あのね、私……え?」

言葉に詰まった。
微動だにしなかったハクちゃんが、ソファーの上で自分で自分を抱くような格好でうずくまってしまったから。

「ハ、ハクちゃん? どうしたの? そんなに期待はずれで、残念だった? ご、ごめんね。ごめんなさい。働いてお給料が貰えたら、もっといいの買ってあげられるから。ちょっと待ってもらっていいかな? ごめん、ごめんなさい」

ご褒美、楽しみにしていたのに。
豪華なプレゼントになれてるハクちゃんからすれば、がっかりだよね?
私だって、貯金あったんだよ?
でも、こっちに連れてこられちゃったから。

「ごめ……ごめんなさいっ」

何も持ってなくて。
あぁ。
こんな気分。
最悪だ。
あんまり情けなくて。

「あは……は。本当に、ごめん……ね」

情けなさ過ぎて、笑える。
さすがに。
さすがに、この場にはいられない。

ハクちゃんの前に。
恥ずかしくて、居られない。

「そ、外。外が気になるからっ私! ど、どんなお城か見てくる!」

そして。 
私は。
逃げた。

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