四竜帝の大陸【青の大陸編】
「りこ……」
 
輝く金の星が。
滴るように、艶めいて。

「ハクちゃ、あぁ! ……な、なに?……ひっ!?」

するりと入ってきた大きな手が肌を撫で上げ、這うように動く。

「んっ! あっ……ああっ、んんっ!!」

ぎゅっと食いしばったはずの唇は、いとも簡単に揺らいでしまう。  
 
「あぁ、ちゃんと憶えているではないか。りこ、りこよ。大丈夫だ、りこは我を憶えているぞ?」
 
わからないの。
こんなの、知らないの。

「っ……あっ」
「ほら、分かるだろう? 知っているだろう?」
「ん……んっ!?」

私はハクちゃんのしてくれたキスしか憶えてなかった、本当に!
こんなの、知らないのよ!
こんな風になっちゃう私、知らないのよっ!

「はっ、あ、あぁん……ハ、ハクちゃんっ! わ、私? うそ、なん……でぇ、こんなになっちゃっ……あっ!? こわっ、いよ私、変になっちゃう……っ!!」

知識としては、知っていた。
そういった話が好きな友達もいたし、女性雑誌にだって特集がよく載っている。
でも、それを自分で体験するとなると。
どうしていいか分からなくて、目をぎゅっと瞑った。

「っあ!?」

でも、それは逆効果だった。
視界を閉じたことでハクの指や手、吐息がいっそう濃厚に感じられてしまう。 
死ぬほど恥ずかしくて泣き出した私の顔を、真っ赤な舌が優しく舐めあげる。

「りこ。我のりこ」

丹念に、執拗に。

「怖いことなど何も無い。あぁ、我のりこ……やめてほしいと? 我に偽りの言葉は通じない……りこの体液が我に本心を明かしてくれる」

耳を銜えられ。
全身を震えが襲う。

「我が欲しいのだろう?」
 
囁きは、甘く。
残酷なほど、優しい。

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