四竜帝の大陸【青の大陸編】

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お風呂の前に晩御飯の片付けをしようと思い、シンクにお皿を運び、壁のフックにかけてあったダルフェさん作の私用エプロンをした。
ダルフェさんは簡易だと言った厨房……キッチンは実家よりずっと広いし、使い勝手も良さそうだった。
白い陶器の流しは広く、深さも適度。
流し付きの大理石製作業台に、コンロが横並びに3つ。
下部が収納になっていて、メープルシロップの色をした木製の扉を開けると、調理器具が整然と並んでいた。
右端に置かれた半透明の箱の中には、例の固形燃料がたくさん入っている。

「ねえ、ハクちゃん。これって高価なんでしょう? こんなにあったら凄い金額になるんじゃない?」

無収入のせいか、高い物に過敏になってしまう。
今の恵まれた生活が、確実にずっと続くという保障は無いし。
世界の監視者だか管理者という正義の味方……とは言い難い、<処分>が仕事で世間から怖がられている旦那様は、無収入。

「さあ、我には全く分からん」

ハクちゃんは金銭に全く興味が無く……どうやら、経済観念ゼロ。
ま、仕方ないよね。
彼は食事が必要無いし、竜体でいれば服もいらない。
物欲も基本的には無いし、美形の癖におしゃれ心も無い。
鏡を見る習慣すら無い。

あんなに綺麗な長い髪なのに、自分で梳かしたことが無いって言ってた。
カット等のお手入れを全くせず、きらきら艶々……美容院の敵だ。
服も私にあってから、生まれて初めて色を選ぶ気になったそうで。
しかも。
どうやら……(実年齢と同じく非常に聞きづらく確認してないけど)貢がれてたようだし。
セイフォンの離宮には、過去の女王様からの贈り物がいっぱいあった。
離宮は【竜宮】で、世界中に……各国にあるって。
世界中の王様達がハクちゃんの為にいろいろ用意してるってことだ。
権力者が貢ぐのは……ハクちゃんが怖い存在だから?
それとも……。
敬意、好意?
 
女王様。
好意。
それって……恋愛感情とか?
 
嫌。
これ以上考えるの、嫌。

「……」

ーーどんな女性を愛したの? どんな風にその人に触れたの?

貴方の過去を、知るのが怖い。
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