四竜帝の大陸【青の大陸編】
ハクちゃんを抱っこしたまま私は固まった。
な、何事? 何が始まったの?

次々に運び込まれるきらびやかな布。服?
いつの間にか室内が様変わりしてる。
あれ、面子も変わってる!?
おじ様2人が居なくなって……侍女さんらしき人達が群れをなしているではありませんか!

白いブラウスに紺のロングスカートの女性達は服(ドレス?)・靴・花・装飾品らしきジャラジャラしたもの等々をきびきびした動きで運び、ハンガーラックのような物に服をかけたり箱から下着(?)のセットを取り出したりと忙しそう。
そんな部屋でイケメン君と美少女はさっきと変わらない……片膝ついて、頭をさげたまま。
トイレ先生の美女は侍女さん達に指示を出してる。
言葉は分からないけど、雰囲気で察する。

『それ、色味はいいけどサイズが大きいわ。下げて。入浴の準備! はやくなさい。ああ、そのドレスはだめね。露出が多いわ。竜族は嫉妬深いからデザインは清楚・可憐な物だけにして』

深々と頭を下げ、三人の侍女さんが洗面所に入っていった。
なんか少し……震えてなかった? 
気のせいかな?

「ハクちゃん。皆さん、どうしたの?」

まさか……あの貸衣装屋状態って、まさか。

「ふむ。りこの着替えだな。人間は着替えを毎日すると聞いたぞ?あの女に用意するように言ったのだが」
「え?いつの間に……ってか、こんなの困る」

あんなぶりぶり・ひらひらなドレス、恥ずかしい!
貸してくれるなら侍女さんの着ている様なのを希望したい。
ああ、そうだった。
これも重要だし。

「ねえ、あの2人。何であのままなの?」

どう考えたって変。
不自然です。

「ああ。あれは<処分>を待っているのだろう」

処分待ち?
なんで?
悪いことしたの?

「悪い人には見えないけど。昨夜も親切にマント貸してくれたし」

マントを返さなくちゃね。
すっかり忘れてた。
確かソファーにかけて……。

「ふむ。<処分>対象は娘の方だがな。男はりこ次第だ」
「ハクちゃんが処分するの? なんで?」 

そういえば、ハクちゃんって何者?
ただの竜じゃないってこと? 
さっきだってハクちゃんに跪いたんだよね。
もしかしてすごっく偉い地位にいるとか……。
言葉使いも偉そうだし、基本は俺様だし……。

「りこはどうしたい?」

へっ?

「あの娘。ミー・メイが術に失敗し、りこはこの世界に落とされた。そしてミー・メイは男の希望で異界から無機物を取り出す術式を行った」

失敗……失敗? 

「くだらない、誕生会の余興だ」

余興……余興!?
 

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