四竜帝の大陸【青の大陸編】
すごく強いのに、脆くて繊細で。
優しくて、怖がりな貴方。

とっても怖がりな、愛しい貴方。
 
「ごめんね、怖かったね……」

多分。
このままだと。
ハクちゃんは、本物の魔王様みたいになってしまう。
とっても怖がりだから。
もう、怖いことが起こらないように。

壊してしまう、無くしてしまう。

「……」

なんで。
私はこんなに落ち着いてるんだろう?
大変な事が起こってるって、分かるのに。

ああ、そうか。
優先順位。

私の一番大切なもの。
それは貴方。

帝都が無くなっても、世界が壊れても。
貴方が側に居てくれるなら。

いらない。
何もいらない。

欲しいのは、貴方だけ。
そんな私の方こそ、まるで悪魔。
 
この世界にとって。
恐ろしいのは貴方じゃなく、私なのかもしれない。

「ハクちゃん、ハク」

氷で作られた人形のような小さな身体に、手を伸ばし。
抱き寄せる。

「もう、怖くないよ? こうしてれば、怖くない。2人でいれば、怖くない」

真珠色の瞳に、私が映ってる。
金の眼の、私。
貴方に愛された、私がいる。

「怖くない。私は貴方の側にいる……永遠に」

決めた。
魂だけになったって、醜いお化けになったって。
離れない。
貴方から、離れることなんて。
やっぱり、私には無理。

「ずっと、2人でいよう」

小さな貴方を、私の腕の中に閉じ込めて。

「2人だけで」

貴方を。
誰にも渡さない。

貴方が。
私以外を愛するなんて、許せない。

魔王は私。
この世界を壊す悪魔は。

「ハクちゃんだけで、いいの」

それは、私。 

『病める時も、健やかなる時も』

 私は、誓う。

『死が2人を分かつ時がきても』

この身が土に還り。
魂だけに、なろうとも。

『貴方を離さない』

大きく開いた、白い竜の口に。
唇を寄せ。
 
赤く長い舌に。
貴方が、私にしてくれたように。
自分のそれを絡ませて。
  

愛しい貴方に。
誓いの接吻を。



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