四竜帝の大陸【青の大陸編】
「ハ……っ」
「ここでしたいのか?」


ちょ、あれ?
なんで?

「ま、我はどこでもかまわんが。あぁ、頬は治ったか。……回復能力は安定していないようだな。治癒時間にばらつきがある」

左の頬に、優しくキスをして。

「まあ、良い。我が気の調整を……さて」

艶やかな微笑を浮かべて、言った。

「りこを地面に這わせるわけにはいかんな。肌が痛んだら大変だ……ふむ、我が下になれば良いか?」

治癒?
気?
なんのことかよく分からない。

「きゃっ!?」

思考停止状態の私の視界が、また変わり。

「これで良し。さあ、りこ。続きをしてくれ」
「? ハクっちゃん?」

わけが分からず、説明を求めてハクちゃんの顔を見下ろす。

「りこ。続きだ、続き。さあ、遠慮は無用だぞ? 好きにするが良い、我はりこのものなのだから」
    
遠慮?
えーと。

この展開に私の脳が、ついていけてません。
まず、現状を把握しなきゃよね。

「……」

私はゆっくりと、周りを見回した。

「……うわっ! な、なにこれ?」

私達を中心に、まるで白い砂漠……異様な景色が広がっていた。
秋色の木々の姿は、ずいぶんと離れた距離に……300m位ありそう。
つまり。
半径300m程はこの状態って事?
あ、あれはお城の北棟部分!?
わっ!
廊下見えてるっ!
4階建ての建物の外壁がスパーンと斬られた様に、消失してる!
薬草園……きっと無い、絶対無くなってる~。
あそこも白い砂漠状態だぁあああ!
竜帝さん、ごめんなさーい!

「ハクちゃん! ど、どうしよう?」

私のせいだ!
ハクちゃんの力を止めることより、私は貴方を選んでしまった。

「些細なことは、気にするな。200年も放っておけば、元通りになる……多分な」

些細!
にっ、200年!?
しかも……多分って言いましたね?
ああっ、お城の外壁工事費用ってどんだけかかるのよー!

「そんなことより。りこ、続きをしてくれ」

そんなことって……ああ、でも今回は私が悪いよね。
ハクちゃん1:私9で、私が悪いです。
世界が無くなってもいいなんて、思ってしまったんだもの。
世界とハクちゃんの二者択一を迫られたら、私は迷わず彼を選ぶ。
改めて、自覚した。
私は、私って。
この世界にとって……。

「りこ」

ハクちゃんの大きな手が、私の顔に添えられる。
いつも通りの金の眼がきらきらと輝いて、私を見た。
うん。
元に戻ったんだね、良かった。
私の大好きな、私とお揃いの眼。
結婚指輪なんかより、強く2人を結んでくれる。
貴方がくれた、貴方の色。

「続き」

だ~か~らぁ、さっきから貴方は何を言ってるんですか!


 

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