四竜帝の大陸【青の大陸編】
「で……でぇとってデートって言ったのか!? おちび、このじじいは正気なのか? お前の旦那は<ヴェルヴァイド>で<監視者>で最強、いや最凶最悪の竜が……デート? 鬼畜じじいが、でぇとぉおおおー……いってぇー!? なにすんだ、このドS!」

青い眼をまん丸にして叫ぶ竜帝さんの額に、ハクちゃんはいきなりでこぴんをしたのだ。
でこぴんにしては、ちょっと異様な音がしたけれど。
竜帝さんの額は少し赤くなっただけだったので、ほっとした。

「煩い、<青>。お前は知らぬようだが……人間の男女にとってでぇとは恋文同様、非常に重要な儀式であると書物にも載っておるのだ。もっと本を読め」

ハクちゃん。
私は人間だけど、一応は異世界人なのですよ?
言ってなかったけど、私の世界では恋文はかなり廃れてるんです。
う~ん、平安時代が恋文最盛期だったのかな?
それにだいたい……デートが儀式って、どういう事!?

「こ、恋文? ……おちび、お前の旦那はいったいどんな本を読んでんだよ!? なんか……言ってることが妙っつーか、変じゃねぇか?」

宝石のような青い眼を瞬かせる女神様に、私は<原因>を告げた。

「あのっ……ハクちゃんが読んでるのはダルフェのお勧め本ばかりでして、そのっ、あのっ」

ダルフェ本ばかりじゃ、ハクちゃんに変な情報ばかりが詰め込まれてしまうかもっ!?
実録新婚シリーズは、最悪だった。
ちらっと見たけれど……あれは絶対に、実録じゃな~い!
異世界人の私から見たって、あんな……あんな赤面新婚生活は有り得な~い!!

「うわっ! そりゃ災難だな。あいつは俺にも時々、ここでは言えねぇようなすげぇタイトルのを持ってくんだぜ!? ダルフェとしては親切心で貸してくれてんだろうが……」

竜帝さんと私は顔を見合わせて……溜め息をついた。
ダルフェさんは悪気ゼロ。
だから断れないんですよね~。

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