四竜帝の大陸【青の大陸編】
靴をそろえるのを伝授した後、私とハクちゃんは揉めた。
ベッドの上で揉めてるのに、内容は色気ゼロです。

パジャマを着て勝負(かわゆいコンテスト?)に出ると言うハクちゃんに、それは寝巻きだから公の場には着ていかないでと私は言った。
だいたいね、勝負に行くんじゃないの!
竜帝さん達の会議に行くんだよ!?

私の作ったベスト風パジャマが自分の一張羅だと言い張るハクちゃんを、思い止まらせるのは想像以上に大変だった。
パジャマを取り上げようとすると、ささっと後ろに隠してしまうし。
私があげたパジャマをそんなに気に入ってくれてたのは、とっても嬉しい。
でも、それとこれとは別問題。
どこの世界に、パジャマ姿の夫を喜んで会議に送り出す妻がいるかぁあああ~!

「ハクちゃん、それは駄目! 今、着てるのだって素敵だし……おしゃれしたいなら、衣装室に竜帝さんがくれたのがいっぱいあるからっ、ね?」

服だけじゃない。
アクセサリーだって、いろいろあった。

「嫌だ。我は‘おしゃれ’などに興味は無い。ぱじゃまが良いのだ」

両手でパジャマを握って放さないハクちゃんに、とうとう私は言った。

「もおぉ~うっ! 分かったわよ、ハクがそれを着て会議に行くなら私もパジャマを着ていく!」

駄々っ子のようなハクちゃんに、私もさすがにかっち~んときてしまい。
私は少々やけになり、勢いよく服を脱ぎだした。
ダルフェさん作のふりふりエプロンをとり、ハクちゃんのまねをして次々と脱いだものを放り投げた。
それにはハクちゃんも、かなりびっくりしたようで。

「なっ!? や……やめてくれ! りこの足を堪能して良いのは我だけだー! 悪かった。我が悪かった、りこ! 服を着てくれ、頼むっ」

私が脱いだものを慌てて拾い集めたハクちゃんは、残ったスリップドレスを脱ごうとしていた私を毛布でくるんで……むぎゅぎゅ~っと抱きしめて、言った。
 
「すまなかった、りこ! さっき、抱っこをして連れて行ってやると約束したのに、我が竜体で行くと言ったので拗ねてしまったのだな? 竜体では、りこを抱っこをしてやれぬものな。そんなに我に抱っこされたかったとは! このように遠まわしにおねだりせずとも……さきほども言ったように、夫の我に遠慮は無用なのだぞ?」

抱っこ……おねだり?
は?
それ、違います。
しかも……堪能って何ですか!?
当分、あのぼろパジャマを着るのはやめよう。
 
 

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