四竜帝の大陸【青の大陸編】
「わ、私……あああぁっ! 私、私……私!?」

気がついた。
知ってしまった。
醜い本心。

「……そうか」

怖がりで寂しがりやの貴方を独りにしないためにも、家族を作ってあげたかった。
その気持ちは、想いは嘘じゃない。

でも、どこかで。

「りこは……りこは【子】が欲しかったのだな」

子供という存在を、利用しようとしていた。

「……我だけでは‘足りない’のだな」

私に傷つけられた手を見たまま、そう言った。
流れ落ちてきた真珠色の髪が、私からハクの表情を覆い隠してしまった。
いつもだったすぐに、大きなその手でかき上げる貴方なのに……。

「ちがっ……私はっ!」
  
違う。
そうじゃないの。

ああ、私は貴方になんて言えばいいの?
言えない。
きっと、嫌われてしまうから。
絶対に軽蔑されるにきまってる。

貴方に嫌われたくない。
だから、言えない。 
 
私、ずるい。
 
私の心。
なんでこんななの?
この世界に来てから、どんどん真っ黒になっていくみたい。
ああ、そうじゃない……きっと元から真っ黒だったのに、それに気がつかなかっただけ。
綺麗な貴方には見せられない、知られたくない。

私は貴方につりあうような人間じゃないって、嫌ってほど分かってるから。 
せめて心だけでも、貴方が好きだと言ってくれる‘綺麗なりこ’になりたいのに。

言えない、言えないの。
私の本当の気持ちを知ったら、貴方に嫌われるかもしれないから。

怖くて、言えない。

「なるほど。りこは子を得る為に、我と交わったのか」

ち、違う!

「ハク! わた……しはっ」

違うの、そんなんじゃない!
好きだったから、したの。

好きだから。
 
「私……あかちゃ……子供……だ、だって……だって!」

自分でもおかしいんじゃないかと思うくらい。
貴方が好きだから。

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