四竜帝の大陸【青の大陸編】
ダルド殿下への手紙を最初にに書くべき(資金援助してくれてるし……)だとは思うけれど、彼とはほとんど交流が無かったので手紙を書こうとしても、全く筆が進まなかった。

だから……つい、後回しにしちゃっている。
私は当初、<ダルド殿下の良心を利用して、こちらの世界で生き抜こう計画>を実行していたので、なんとな~く後ろめたいというか……彼に苦手意識を持つようになってしまった。

彼が提案した余興の失敗で、私はこの世界に連れて来られた。
そのおかげで、ハクちゃんの側にこうしていられる。

許せない。
ダルド殿下も、ミー・メイちゃんも。
家族の悲しみを思うと、許してはいけないって……。
 
でも、感謝もしている。
ハクと会えたから……。

矛盾した思いが頭の中をぐるぐる回り、複雑な感情が胸をちくちくと刺す。セイフォンを離れても、彼は私の後見人として生活費を援助してくれている。

彼は一生、死ぬまで<慰謝料>を払い続けるのだとカイユさんは言っていた。

援助してくれるダルド殿下に、どの程度の頻度で礼状を書くべきかと質問した私に……ダルフェさんは、言った。

ーー礼状? 基本的には礼状なんて、書いてやる必要はない。まあ、姫さんの性格じゃ向こうに非があるとはいえ、金にかんしちゃ礼の一つも言いたいのは分かるんだけどね。そうさねぇ~年1回、一筆書いてやれば充分なんじゃないかぁ? ああ、注意が一点。どの大陸にいようと<竜帝>を通してくれな。 

援助してもらっているに、それでいいのかと訊いた私にダルフェさんは苦笑した。

ーー姫さん。あの坊ちゃんは<慰謝料>を払い続けることで、罪悪感から多少なりと救われる。あいつは自分自身の為にも金を払うってわけだ。しかも竜帝公認の<監視者のつがい>の後見人の座を手に入れた。それにはあいつが払ってる金額以上の、価値があるんだ。俺から見れば今回の件で、セイフォは‘得’をしたって感じだなぁ~。

得をした……後見人は得なんだろうか?
ハクちゃんは、彼を嫌っている。

すごく、嫌っている。
あのハクちゃんに、<監視者>に嫌われてしまったのに得することなんかあるんだろうか?



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