四竜帝の大陸【青の大陸編】
予定より少々早く、1時間ほどで昼食休憩を終えて店を出た。
今度は俺が閣下を抱いて運んだ。

皇太子と王宮術士は、先に馬車に戻っている。
皇太子が自分が抱くと申し出てくれたのに、閣下は俺を指名した。

「……閣下、俺に何か?」

指名したって事は、俺に話があるってことだろう。
皇太子抜きで話したいってことだ。
ダルド殿下はそれを察し俺に閣下を任せ、王宮術士を促して足早に馬車へと戻った。

あの坊ちゃんは、王族にしちゃ‘頭が良い‘からなるべく姫さんからは遠ざけたい。
俺としちゃぁ姫さんに、必要以上の好印象をあの皇太子には持ってもらっちゃ困るんだ。

まあ、いろいろとこっちの都合があるんだよなぁ。
先のことに思いを廻らせていた俺に、閣下が話しかけてきた。

「カイユ殿、ご出産されたんでしょう? 御息女には髪飾りをお土産にするなんて……いまどきの幼生には、髪の毛が生えてるのかしら? しかも、黒髪の?」

この女。
ったく、油断ならねぇな。

「何が言いたい? セシー閣下、いや……<魔女>さん。余計なことを【記録】するんじゃない」

この女は只の女……人間じゃない。

世界で唯一の<魔女>。
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