四竜帝の大陸【青の大陸編】
「ハクちゃん、この毛布を寝室に置いて来て! 私は服を片付けるからっ」
「りこ」

私は一番近くにあったワンピースを拾うためにしゃがんでいたので、顔だけをハクちゃんに向けて返事をした。

「はい?」

ソファーから立ったハクちゃんは、私を金の眼で見下ろしながら言った。

「なにやら慌てているせいか、いつものりこらしくないぞ。以前のように我が‘失敗’したら、困るのはりこだろう? 少しは隠せ。我は蜜月期の竜なのだ……襲うぞ?」 
「……え?」

隠せって、それは私のセリフ……ん?
以前の失敗?

失敗……おそっ!?

うわぁあああ~、あれだっ!
ジリ君のお産でカイユさん達がいなかった時の、お風呂事件のことだぁ~!!

ええ、貴方様の仰る通りでございます!
とっても困ります、いろんな意味で困りますともっ。

「ハハハ、ハクちゃん! そのももも毛布っ、毛布をかかっ貸してくださいっ!」

床でだんご虫のように身体を丸め、ハクちゃんに右手を伸ばした。
ハクちゃんは毛布をお腹から頭の上へ、ささっと移動して言った。 

「さて。我はこれを置いてくるとしよう」

へ?
ちょっ……!?
 
「待っ、待って! 毛布っ……ハクちゃんの意地悪~!」

私の叫びを背に受けながら、ハクちゃんは一度も振り返らずに去っていった。
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