四竜帝の大陸【青の大陸編】
『んっ……。あれ?』

いろいろあって疲れたせいか、ちょっと寝すぎちゃった?
カイユさんが用意してくれた敷布に横になったら、すぐにとろ~んって意識が……。

『お目覚めですか? トリィ様、ご気分はいかがです?』
『あ、はい。平気、です』

少し寝たら、頭もすっきりした感じ!
手渡されたグラスに口をつけると、爽やかな柑橘系の香りがした。

柑橘系の香り。

ダルド殿下のことが頭に浮かんだ。
借りたマントがハクちゃんのせいで瓦礫に埋まって、使い物にならなくなった事を謝る私に彼の方が慌ててたっけ。
怪我が無くて良かったって、微笑んでくれた。

女の子が憧れる理想の王子様。
異世界トリップした女の子って80%は王子様とハッピーエンドなパターンだよね、普通。
ま、私も女子高生の時なら彼に惹かれたかも。

26歳の私は、王族なんてややこしそうな存在と恋愛なんかまっぴらだと思ってしまう。
王族の豪華な暮らしは、国民に支えられている。
王族は国の利益・安全を追求する義務があり、命さえ国のもの。
個人でいることなど、許されないこともある。

そんな重責を負った王族と結ばれるなんて、若い情熱がないと駄目だよね、うん。
ん?
ハクちゃんも重いのかな?
国どころか世界的問題?
しかも私がしっかりしないと‘問題児‘は暴走しちゃうし。
竜で人型(しかも全くプラス印象の無い超絶美形)ありなんて。
さすが異世界!
……はぁ~、そう思わないとやっていけない。

『トリィ様、御髪を直しましょう。さ、竜帝陛下が到着なされる前に化粧直しも……』

そうでした!
お客様……竜帝って人が来るんだ。
うわっ、どきどきしちゃう!

「ハクちゃん! 青の竜帝ってどんな竜な……ハクちゃん?」

ハクちゃん?
あれ?

『ハクちゃん、どこ? カイユ?』

いつだって側にいたのに。
目覚めた時はいつも私の顔を覗き込むようにして……。
私が起きると金の眼を細めて‘りこ。おはよう‘って。

教えてあげたの。

お願いしたの。

眼が覚めて独りは怖いから。

だってここは、私の世界じゃないから。
怖いんだもの。
不安なんだもの。

だから「おはよう」って、言って欲しい。

目覚めた時に……私を独りにしないで。
 
< 76 / 807 >

この作品をシェア

pagetop