四竜帝の大陸【青の大陸編】

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「ぐぎゃー! なにしやがる! このじじい、放しやがれ!」                
白い光の帯に引きずられた青い竜がハクちゃんの足元でもがく。
小さな手足を激しく動かして脱出しようとしているのに、光は益々強く発光し締め付ける力を増したようだった。

「おい、お前! なんとかしろ……っつ! いてて」

青い眼が私を見て、言った。

「ヴェルを‘抑え‘るんだ! ‘つがい‘であるお前の役目だろうが!」
「わ、私……」

止めないと。
私はハクちゃんの肩に手を伸ばし、服を掴んで引っ張りながら【お願い】した。

「やめて、ハクちゃん! 竜帝さんが怪我しちゃうよ! お願い、止め……」

ハクちゃんの金の眼は足元の竜に向けられたままで、私を見てくれない。
何も言ってくれない。

「ハクちゃ……」

無視された。
ショックだ。

いつだって私を最優先にしてくれたのに。
どうして?

「ぎゃぎー! や、やめ! こ、の馬鹿」

あがった悲鳴にびっくりして竜帝さんを見ると……。

「な……!」

ハクちゃんの足に頭を踏まれた竜帝さんが短い手足を使って、懸命に足を退かそうとしていた。

「潰れちゃうよ、死んじゃう! やめて、やめて。こんな酷いこと」

私はハクちゃんの胸を叩いた。
力いっぱいに。

「……<青>を庇うのか。我より<青>が‘かわゆい’からか」
「ち、ちが」

ハクちゃんは私を見ずに冷たい声で言う。

「我の腕にいるのに、我以外の雄に心を向ける。今までの女は皆、自分から我に媚、擦り寄ってきたのに」

い、今までの女?
女ぁああ~!?

「<青>よ。りこの心を我から奪わせはせぬ。消えろ」

お・ん・な。

「……ハ、ハクちゃんの馬鹿! 最低、最悪!」

私は暴れた。
めちゃくちゃに。
なによ、なんなのよっ!?

女ってなに!?
過去の恋人と私を、彼は比べてたってこと!?
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