最後の恋、最高の恋。

俺に引き合わせたら、もう後戻りなんてしてやれない、という最終確認。

それでも春陽は、コクリと頷いた。


「全力で行くぞ?」

「美月を幸せにしてくれるなら構わない。 でも泣かせたら承知しないからね」

「うれし涙は?」


それは別でしょ、笑いながらようやく弁当の包みを広げた春陽から視線を外して、今度の日曜に想いを馳せた。




実際に目にした三浦美月ちゃんは、写メでみるよりずっと華奢で、想像以上に可愛くて、そしてとっても強がりな女の子だった。

美月と比べるような言葉を口にしただけでこわばる身体に、やっぱり、と思った。


彼女は春陽に対してコンプレックスを持っているんだろう。


だから比べられることが、何よりも恐怖になっている。
そして誰よりも美月ちゃん自身が、春陽に劣等感を抱いている。

そのコンプレックスごと愛しいと思う俺は、変なんだろうか。


変でも構わない。

俺だけが、彼女を誰よりも知っていたいし、誰よりも愛しいと思っていたいんだから。




この日が、俺の初恋の本当の始まりだった。






□END□
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