最後の恋、最高の恋。


「春陽(はるひ)、待たせたか?」


そういって待ち合わせの喫茶店に入ってきたのは、見れば誰しもがかっこいいと思うだろう、整った顔立ちの男の人だった。こういう人がきっと、お姉ちゃんの隣に立ってもひけを取らないイケメンなんだろう。

春陽、というのはお姉ちゃんの名前だ。
あったかくて優しくて、お姉ちゃんにぴったり。

私は太陽の陰の月。
だから月も私にぴったり。
“美”はあまり私には当てはまらないけれど。


「大丈夫よ、私たちも今来たところだから。 美月、コイツ私の同僚の坂口学(さかぐちがく)、私と同じ25歳で彼女ナシ。 一押し物件となっております」


お姉ちゃんにそう紹介された坂口さんは、「今なら敷金礼金ゼロです」なんておどけながらにっこり笑った。


「三浦美月です……」


出来る限り笑ってそう言ってぺこりとお辞儀すれば、坂口さんはよろしく、と笑みを深くした。


「コイツね、こんないい顔してるくせに寄ってくる女の子に全然興味示さないでね?」

「俺の理想は高いんだよ」

「ホント、何様なんだって感じだけどいい奴なの」


向かいに座った坂口さんを私の左隣にいるお姉ちゃんが説明してくれているのを、聞くともなしに聞きながら注文したミルクココアをチビチビ飲む。
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