最後の恋、最高の恋。


そのあとは、3時近いということもあって百貨店内の喫茶店で坂口さんはコーヒーを、私はチーズケーキと紅茶を頼んで、そこでもやっぱり「美月ちゃんはコーヒーが飲めないんだってね」と、ブラックを飲みながらお姉ちゃんから得たであろう私情報を口にした。

飲めます、と見栄を張ってみたのに、「砂糖とミルクをたっぷり入れたコーヒーなら、でしょ?」と笑われてしまう。


この人の前じゃ見栄を張ることも嘘をつくことも通用しない。


なんてったって、誰より身近で誰より私を知ってるお姉ちゃんが、身内しか知りえないダメなところから何もかも教えているのだ。

しかも、坂口さんはお姉ちゃんが唯一知らない私がフラれる理由も知っている。


いっそのこと三浦美月マスターの称号をあげたいくらい。


……でも、お姉ちゃんも坂口さんも知らないのは今日芽生えたばかりの私の気持ち。


これだけは二人に知られないように、ゆっくりゆっくり大切に育てていくんだ。


きっと一緒に過ごすうちに、エスパー坂口さんには言わずとも分かられてしまう日が来るかもしれないけど、


坂口さんを信じられるようになったら、
もう一度勇気を持てるようになったら、





その時は私から告白したい。

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