30才の初恋
呼吸を調えながらエレベーターに乗り込むと、誰かの足でトビラが閉まるのを止められた。


嘘、そんなはずがない。


「相変わらず逃げ足だけは早いな。」



「…………………………」


何も話す事などない。


無言を続けた。


「俺を嫌うのは仕方ないが、仕事は諦めない方がいいぞ。後は織原さん頼む。」


エレベーターに織原さんが乗って来た。


「ドシでのろま女と思ってたのに、こんなに走るのが早いなんて驚いたわ。でも逃がさないわよ。」


怖い。


織原さんに引きづられて、又歩いた。


人事課に挨拶して、名札を貰う。



織原さんが建物の中を案内してくれても、あまり頭には入らなかった。


「武井さんは副社長と知り合いなの?年も同じだし、もしかして幼馴染みとか。」


首左右に振った。


「いえ、違います。副社長とは今日初めてお会いしました。」



そうだ、清水斗真とは今日初めて会ったと思えばいい。



「ならいいけど、副社長は時期社長になる人よ。婚約者もいるし、変な気を起こさないか心配しただけよ。」



変な気など、この先、嫌、一生起きませんから。



清水斗真には絶対関わらないようにしようと、心に誓った。


その前にこの会社を辞めたないと。


この会社に斗真がいると知っていて、父さんは紹介したの。


あり得ない。
































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