30才の初恋
もうどうしていいのか本当に分からない。


そんな事を悩んでる暇もなく、仕事仲間を紹介されてしまった。


「受付の仲間紹介するわ。中村美鈴さん22才と三浦リカさん23才。今日から受付嬢になる武井明日美さん30才。」


織原さん、何回も言うようですが年令はいらないと思います。


中村さんと三浦さん、二人はまだ若い。



私が受付嬢しても本当に大丈夫なのかな。


「明日美さんって呼んでいいですか。明日美さんとても30才には見えません。可愛いです。」



おせいじでも嬉しい。


この二人なら大丈夫な気がする。


「ありがとう中村さん。慣れない事ばかりで、お二人にはご迷惑おかけすると思いますが、よろしくお願いします。」


何とか頑張って行けそうだ。



「私のこともリカと呼んでね、中村の事もも美鈴でいいから、仲良くやりましょう。」


良かった、感じの良い人たちで。


織原さんにはずっと文句を言われたが、受付嬢は笑顔を絶さず、お客様を気持ち良くご案内する事を教えられた。


今回だけは逃げるのを止めてみようかな。


逃げても何も始まらないし、逃げると斗真に負けた気がするし、斗真には絶対負けたくない。


恋愛は無理だとしても、仕事だけは頑張ってみたいんだ。


もう、斗真から逃げる事を卒業しなくちゃね。


あの頃の子供ではない、今は30才の大人なのだから。


自分で30才を強調してしまった。


こんな気持ちになったのは何年ぶりだろうか。


















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