30才の初恋
「人間の記憶なんて曖昧なものよ。でも斗真君と明日美ちゃんは約束を守って一緒なった。とても素敵な事ね。」




そして園長先生が源ちゃんに言った。




「源太郎君が明日美ちゃんに拘る理由なんなのかしら。大切なビードロを勇気出してあげたんでしょ。思い出を汚しては駄目よ。」




源ちゃんは俯いたままだった。




「俺が明日美に拘ったのは、斗真に負けたくなかったからなんだ。斗真が持ってるのものがなんでも欲しくて、結局彼女ともそれが原因で別れた。」




そんな事が理由で彼女と別れた訳。




本当にバカらしい。




「源ちゃん、今からでも遅くないから、彼女に謝っておいでよ。」




無理だと嫌がる源ちゃんを怒鳴り付けた。




まだ好きなら、どんな事しても話さなきゃ駄目だよ。



今のままだと絶対後悔するからね。




源ちゃんにも幸せになって貰いたい。




「源太郎、彼女はまだあのマンションにいるはずだから、もう一度勇気出して話して来い。」




ぐずぐずしてる源ちゃんに、斗真が又殴るぞと言うと、慌てて逃げて行った。




源太郎、頑張れ。




そして、今度こそ幸せになってね。













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