30才の初恋
ここのラーメンは本当に美味しかった。




「明日美はよく食うな。本当に美味そうに食べるよ。」




「宗次郎、チャーシュー食べないならちょうだい。」



お箸を伸ばすと、斗真が自分のチャーシューを私の丼に入れた。




「俺のやるから食え。」




「ありがとう。」




「宗次郎に、明日美はやらない。」




明日美はやらない?




私は斗真のものじゃない。



「斗真、今会社が大変なんだろ。大和銀行頭取の娘、雪子さんと結婚したら、丸く収まるんじゃないのか?」




何で宗次郎は雪子さんの事知ってるの?




「斗真、どうするつもりなんだ。金は何とかなるのか?」




「なんとかするよ。雪子さんと結婚するつもりはない。俺は好きな女と結婚する。」




そう言って斗真は私を見詰める。




止めてよ、まるで斗真が私を好きみたいに思えるけど




「悪いけど、明日美は俺が貰う。あの頃と違うんだ。」




宗次郎まで何を言い出すのよ。




宗次郎が私を好き?




2人で睨み合うのは止めてほしい。










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