30才の初恋
仕事に行く事をまだ納得してないと言うのに。


父さんの車に無理矢理乗せられ、着いた先は大きなビルの前だった。


清水建設、一流企業だ。


父さんの知り合いがこの会社の経営者な訳。


一度もそんな話を聞いた事がない。


「父さん、こんな大きな会社無理だよ。」


体の震えが止まらない。


清水建設って、確か男性社員が多い会社だ。


ブルブル無理、このまま帰ろう。


父さんは私を無理矢理車から下ろした。

動けない私の前に綺麗なお姉さんが現れる。


「武井明日美さん、お待ちしておりました。私は社長秘書の織原柚子といいます。明日美さんには今日から受付嬢をしていただきます。」


30才の私が受付嬢って、清水建設は何を考えているのでしょう。


受付は多くの来客者を案内する仕事だから、どう考えても無理。

本当にやだ。


頭が爆発寸前。


逃げたくても逃げれないし。


私は逃げ場をなくして、バカみたいにその場に立ってい
た。












































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