30才の初恋
ちょっと待ってよ斗真。まさか一緒にお風呂に入るつもり?




「斗真、なんで脱いでるのよ!」




「いいから、明日美も脱げ、体洗ってやる。風呂の中で又倒れたら困るし。」




そんなの無理、斗真に裸見せられない。




「あのなぁ、もう明日美の裸見たし、さっさと脱げ。」




私が戸惑っていると、斗真がパジャマを脱がし始める。




私は抵抗も出来ず、斗真を見詰めたまま立っていた。



何で抵抗しないんだろ、自分でも訳が分からない。




斗真は私の裸なんか見たって、何も感じないんだろう、なんてずっと思っていた。




シャワーで丁寧に私の体を洗う斗真、凄く手慣れていてやだ。




ずっと無言のまま、湯船に浸かった。




「怒ってるのか?泣いてるのか、どっちだ。」




「怒ってないし、泣いてもいない。」




「嘘つけ、ならなんでこっち見ないんだよ。」




恥ずかしいから、恥ずかし過ぎて斗真が見れない。




「昔、よく一緒に風呂はいったろ。明日美の何処にほくろがあるとかみんな知ってる。」




今言わなくていいのに。




斗真のバカ!



あの頃は本当に良かった。



斗真といる事が当たり前だと思っていたんだよね。



何だか、懐かしい。











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