面倒くさい恋愛劇場
 手紙が届いたということは、わたしの住所もばっちり相手側が把握しているということだろう。
 個人情報なんてどこでばれたのかわからないけれど、人間いろんな意味でやろうと思って出来ないことはないらしい。

 了承の意を示して、歩き出そうとした、その時だった。


 「別れてって、言ったのに!!」


 シュークリームを買うために並んでいた女の子たちのざわめきが一瞬止む。
 周囲の人の視線を追えば、道路を挟んだ向こう側で、こちらを睨んでいる少女の姿が見えた。
 
 「いつもいつもいつもいつも!! どうして、あなたが彼の側にいるの?!」


 (あー、この子もなんだか勘違いしている)

 彼がわたしを疑っていたように、彼女は彼女で、何か勘違いをしていたのだろう。
 
 「彼もあなたのことを気にしていた! どうしてどうして! わたしの方が、ずっとあなたを見てるのに!!」
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