彼氏の余命を知ってる彼女。


──人はいつだって死に向かって生きている。


──人は必ず死が訪れる。


──だからそれまでの人生を精一杯歩こう。


この言葉は、昔、世界で一番愛していた人が好きだった言葉でした。




「あらぁ…」


数十年後、私は八十過ぎのおばあちゃんになり、孫も出来て、そう上病気もせず、幸せな日々を送っていた。


そんなある日、私はいつだか来た事のある何もない世界に一人、立っていた。


八十過ぎだからって若い頃の記憶力はなくならないもんじゃな。


なんて思いながらヨボヨボの足で無の世界をゆっくり歩く。


    
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